ドイツの教育システムは、日本人にとって少しわかりにくい部分が多分にあります。日本では、大学に行くのがあたりまえのようになっていますが、ドイツでは、総合大学に入学することができるのは、20%~30%です。
その他は、専門大学や専門学校、職業学校となります。わかりやすく説明すると、ドイツの総合大学とは、日本の国立大学を意味するかもしれません。そして、ドイツの専門大学が私立大学ととらえると、わかりやすいかもしれません。
1.ギムナジウムという大学進学コース
ドイツの総合大学に入学するためには、アビトウアという、大学入学資格を取得しなければなりません。そして、このアビトウアを取得するためには、ギムナジウムという、大学入学コースの中学、高校に入学しなければいけません。
この大学入学コースに行くか、行かないかの決定は10歳にしなければいけないのです。なぜなら、小学校5年生から、ギウナジウムが始まるからです。
10歳の小学生に、自分が将来、大学に行くか、専門学校にいくかを選択させるのは、早すぎるのではないか? 結局、親が決めているのではないか?という議論がドイツ国内でもよく行われているようです。実際、親が大学を卒業している家庭の子供は大学コースを選択し、親が大学を卒業していない家庭では、専門学校コースを選択するのが、大半のようです。
2.ドイツでは、大学名より、職業をいかに持つかが重要
ドイツでは、職業を重視する傾向にありますので、大学を出た方が就職率がいいという、日本のような風潮ではありません。専門大学、専門学校の方が、理論ではなく、実践で使えますので、お給料が高く、就職も引く手あまたである場合も多いのです。
ドイツでは、ギムナジウムから総合大学を希望する生徒は、医学、薬学、法学、教職など、高度な専門職の場合となります。また、企業の管理職をめざしての場合になります。ですので、修士課程まで取得することが多いのです。
また、日本と違う点とは、大学にランキング格差がほとんどないということです。アビトウアを取得すれば、自分の行きたい大学に申込みができるので、ランキング格差がないのです。しかし、医学、薬学では定員があり、アビトウアの点数の足切りなどもあるようです。やはり、高得点でないと医学部に行けないのは、どの国でも同じです。
3.ドイツでは、多種多様なコースをたどることができる
ドイツの教育の良い点は、さまざまなコース、選択肢があることです。総合大学に入学するためには、アビトウアが必要ですが、もし、10歳の時点で専門学校のコースを選択したとしても、高校で1年多く就学して、アビトウアを取得することもできますし、一旦、社会に出て働きながら、夜間学校でアビトウアを取得して総合大学に入学することもできるのです。ドイツの教育システムは職業を持つために、いろいろなコースを設けているので、移民の方もドイツで勉強して、職業を持つことができるのです。
総括すると
ドイツの教育の特徴は、以上の点が挙げられます。
自分のしたいことは何か?どのような職業で自分は生きていくのか?をいつも問われているのが、ドイツの教育の根底にあります。日本と異なり、勉強した専門知識が職業につながっていきます。学位の専門が職業に直結するので、専門外で職業を持つことは難しくなるのです。
その点で、日本では、学位の専門分野でなくても、就職できるところは、寛容であるといえるでしょう。例えば、大学で生物博士であるのに、テレビのアナウンサーになれるのは、世界から見ても、日本くらいではないでしょうか?
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